当たり前になったスマートフォンやパソコンをはじめ、車や家電などにも、ソフトウェアが組み込まれています。
そんな当たり前に動いているソフトウェアに欠陥があった場合、私たち自身をはじめ、関係企業、製品を作っている企業は、どのような損害を被るのでしょうか。
ここでは、実際の事例をもとに、ソフトウェアが原因で起こった事件や事故と、その損害や損失についてご紹介します。
■事例(1):某航空会社で起きたシステム障害
その航空会社は、幅広い路線網を持っていました。システム障害は、航空会社が所有する機体の、貨物の搭載計画や機体の重量重心計算などを担う重量管理システムで発生しました。
障害が発生したシステムは、その月に導入がされたばかりのものでした。
原因は、プログラムの潜在的な不具合によるもので、不要なデータが滞留したことでシステムを圧迫し、正常だったシステムで障害が発生しました。
この障害で、2日間で178便、約1万4000人に影響が出ました。
これに対し、航空会社はすぐにプログラムの修正作業に入りましたが、作業が終わるまでには時間がかかるため、
それまでは不具合を残したまま、不要なデータの滞留を監視しながら運用を続けました。
この後、再発防止のため、作業手順の見直しなどを検討するミーティングが開かれるなどしています。
この障害による、運航の安全には直接影響はありませんでしたが、
その修正や、一時的なデータの監視体制の構築、再発防止のための会議など、多くの費用がかかっています。
■事例(2)某企業のサイトリニューアルで障害
多くの人が利用する、家具などを取り扱っている某企業のサイトが、リニューアルされることになりました。しかし、リニューアルオープンされたサイトに一部表示エラーが見られたため、
企業側はこのページを一旦休止状態にして、改修のためのメンテナンスをおこないました。
今回の障害は、サイトのリニューアル作業を実施した結果、
一部のプログラムエラーのためサーバーが高負荷状態となり、発生してしまいました。
この後、不具合の修正のための作業が進められましたが、早急な対応が難しく、6日間サイトは休止状態が続きました。
最終的に、不具合があった箇所のプログラムの改修と、サーバーの強化をおこなって応急処置をしましたが、
改修後に改めてリニューアルオープンされたサイトでも、しばらく表示崩れなどの不具合が上がっていたり、サイト自体がとても重かったりと、不安が多く残る結果となりました。
今回の障害で、季節の変わり目で、企業としてもユーザーの書き入れ時だっただけに、改修のためにかかった費用以上に、機会損失の額が大きかったようです。
サイトのリニューアルなどでは、このような不測の事態による不具合の発生はよく起こります。
テストや検証など、自分は万全だと思っていても、リスクヘッジはいくつか考えておいた方がいいのかもしれません。
■まとめ
●システムとは直接関係ないところでも損害が及ぶ●システムの障害が機会損失を生む可能性がある
今回ご紹介した実例のように、システムによる障害は、いまやとても大きな損失を生む原因になってきました。
それだけソフトウェアが、我々の生活の中で重要なポジションを担っているということです。
今回ご紹介した障害や不具合が、必ずしもテストによって防げていたとは限りませんが、
その可能性を限りなく小さく抑えるために、テストや検証はとても重要だということです。