ゼロデイ攻撃
ゼロデイ攻撃とは、ソフトウェアやシステムに存在する脆弱性(セキュリティ上の弱点)を悪用し、パッチ(修正プログラム)が提供される前に行われるサイバー攻撃のことです。脆弱性が公になる前、あるいは対策が間に合っていない“ゼロデイ”の期間を狙って攻撃が行われるため、防御が難しく、被害が拡大しやすいのが特徴です。
Webアプリケーションの開発や運用を担当する方にとって、ゼロデイ攻撃は無視できない脅威です。OSやソフトウェア、Webアプリケーション、ネットワーク機器など幅広い対象が狙われる可能性があり、不正アクセスや情報漏えい、業務停止など深刻な被害につながるおそれがあります。
本記事では、ゼロデイ攻撃の特徴を整理し、企業が取るべき対策についてわかりやすく解説します。
ゼロデイ攻撃が危険な理由
ゼロデイ攻撃が特に危険とされるのは、既知の脆弱性対策だけでは防ぎきれないためです。一般的なセキュリティ対策は、既に知られている攻撃手法や脆弱性を前提に設計されています。しかしゼロデイ攻撃では、まだ十分な対策情報や修正プログラムが出回っていない段階で悪用が始まるため、従来型の防御だけでは対応が難しい場合があります。
その結果、以下のような被害につながるおそれがあります。
- 情報漏えい、システム停止等
- それによる取引停止や信用低下などの二次被害
また、ゼロデイ攻撃は単体で完結するとは限らず、ID・パスワードの窃取、不正ログイン、社内での横展開など、複数の攻撃手法と組み合わされることもあります。
最近の事例
| 事例1 |
|---|
| 法人向けメールサービスのゼロデイ脆弱性が悪用され、不正アクセスによって大量の隔離メールにアクセスされた痕跡が確認されました。対象となったメールには、企業の取引情報や個人情報、見積書、請求書などが含まれていた可能性があり、業務上の重要情報が外部に閲覧されたおそれもあります。 |
| 事例2 |
|---|
| 国内の小売・エンタメ関連事業者で、子会社が利用する一部の社内ネットワークでランサムウェア被害が確認され、店舗運営や各種サービスに影響が生じた。一部店舗では臨時休業や営業時間変更が発生し、決済、買い取り、ポイント、ECにも支障が出たほか、顧客や取引先の情報が漏えいした可能性があると公表された。 |
ゼロデイ攻撃への対策
ゼロデイ攻撃を完全に防ぐことは容易ではありませんが、被害の未然防止や拡大防止のために実施すべき対策はあります。
1. 多層防御を前提に対策を組み合わせる
不正アクセス、ランサムウェア感染、端末の紛失など、不測の事態が発生した場合に備えて、緊急連絡体制や対応手順が明確になっているか確認しましょう。
情報システム部門だけでなく、必要に応じて経営層、法務、広報、委託先企業なども含め、誰が誰に、どの手段で連絡するのかを整理しておくことが重要です。あわせて、連絡フローが現在の組織体制に沿っているか、各担当者の電話番号やメールアドレスに変更がないかも確認しておきましょう。
2. ID・パスワードを適切に管理する
ID・パスワードが流出すると、ゼロデイ攻撃と組み合わさって不正アクセス被害が深刻化するおそれがあります。以下のような基本対策を徹底しましょう。
- 初期パスワードは必ず変更する
- 10文字以上を目安に、大小英字・数字・記号を組み合わせる
- 生年月日や単純な文字列など推測されやすい情報を避ける
- 複数サービスで使い回さない
- 不要なIDは削除する
- ログイン履歴やログインアラートを活用する
- ワンタイムパスワードや二要素認証、多要素認証を導入する
3. 従業員・利用者へのセキュリティ教育を継続する
ゼロデイ攻撃は、不審なメールや添付ファイル、リンクなどをきっかけに始まることがあります。そのため、従業員や利用者に対して、不審なメールを安易に開かない、怪しいリンクをクリックしないといった基本的な注意点を継続的に周知することも重要です。
4. ファイアウォールやIDS/IPSで不正な挙動を監視する
ファイアウォール、IDS、IPSを適切に設定し、異常な通信や不正アクセスを検知・遮断できる体制を整えることも有効です。ネットワークや端末の挙動を継続的に監視することで、攻撃の早期発見や被害拡大の防止につながります。
5. アンチウイルスソフトやEDRを活用する
最新の脅威情報に対応したアンチウイルスソフトやEDRを導入することで、マルウェア感染や不審な振る舞いを早期に検知しやすくなります。導入するだけでなく、定義ファイルの更新や定期的なスキャンを継続することが重要です。
6. ソフトウェアやOSを最新の状態に保つ
ゼロデイ攻撃は修正前の脆弱性を狙う攻撃ですが、脆弱性が公表された後に速やかにパッチを適用することで、被害を受ける期間を短くできます。OSやソフトウェア、アプリケーションは常に最新の状態に保ち、更新を後回しにしない運用が求められます。
7. サンドボックスを活用して安全性を確認する
疑わしいファイルやURL、メール添付ファイルを隔離環境で実行・確認できるサンドボックスも有効です。特に、標的型メールや添付ファイルを起点とした攻撃への対策として、初期侵入のリスク低減が期待できます。
まとめ
ゼロデイ攻撃は、修正前の脆弱性という“隙”を突くため、非常に発見・防御が難しい攻撃です。実際に、社内ネットワークやメールサービスを起点として、個人情報や業務情報の漏えい懸念につながる事例も発生しています。そのため、日頃からパッチ管理、監視体制、認証強化、マルウェア対策、利用者教育を組み合わせ、被害を受けにくい環境を整えることが重要です。
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