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テスト自動化導入のポイントVol.4 〜組織へ導入するプロセス〜

テスト自動化導入のポイント

前回の『テスト自動化導入のポイントVol.3 〜工数削減の効果と効果測定の方法〜』では、テスト自動化による工数削減の効果と、その測定方法について弊社の実績を交えながらご紹介しました。

今回は、実際にテスト自動化を導入するにあたり、どのように組織を巻き込んでいくべきなのかをご紹介します。

テスト自動化を計画する

自動化を導入するプロセス

テストだけではなく、プロジェクトを計画する上で重要なのは「誰が」「どのように」進めるのかを明確にすることです。そしてこれはテスト自動化も例外ではありません。

関係者を決める

まず「誰が」テスト自動化を計画するのか、関係者を決める(選ぶ)必要があります。ここで重要なのが「推進役」「変革の請負人」「組織上層部の支援者」の、3つの役割です。小さい組織の場合には、これらを兼任することもあります。

※参考文献(記事下部に記載)より引用しております※

推進役

テスト自動化を導入するうえでもっとも重要なのは、テスト自動化に詳しく、テスト自動化が組織にもたらす利益について明確なビジョンを持っている「推進役」の存在です。エバンジェリストと呼ばれることもあります。テスト自動化だけでなく、組織に新しいものを導入するためには、計画を強く推し進めるパワーと忍耐が必要です。テスト自動化の推進役となる人も、関係者に対しテスト自動化を導入することを積極的に促すパワーと、時間がかかる中でも辛抱強くやり遂げる忍耐が必要になります。

変革の請負人

ここでの「変革の請負人」とは、組織にテスト自動化を浸透させるうえで、その計画を管理する人のことです。前述した「推進役」が兼務することが多いですが、大規模な組織の場合には別な担当がつく場合もあります。変革の請負人は、テスト自動化の計画を管理すると共に、その進捗に責任を負う立場でもあります。そのため、以下のような経験や能力が求められます。

・テストについての幅広い経験
・新しいものに関する情報収集能力
・技術的背景だけではなくビジネスへの関心もある
・高度な分析能力

組織上層部の支援者

テスト自動化の成功においてもっとも重要なのは、変革の推進に対し経営層の支持を得ることです。経営層からの承認が降りているかどうかで、かかる時間やかけられるコスト(お金)、さらには関係者のモチベーションにも大きく影響します。

道具、ツールを選ぶ

テスト自動化をしたくても、まだどのツールを使うか決めていない場合、まずは「どのツールが目的に適しているかを調査する」必要があります。そのために、ツールの候補を出す前にやらなくてはいけないことが「要件の評価」です。ツールの選択を誤ると、必要なテストや期待する結果が得られない場合があります。
詳しくは『テスト自動化導入のポイントVol.2 〜テストツール導入の落とし穴〜』をご覧ください。

要件を評価するためには、テスト自動化によって解決すべき問題は何かを明確にしておく必要があります。問題を特定しておくことで、チームのメンバーがその問題を共有でき、テスト自動化の成否を判断する基準を決めるベースにもなります。
詳しくは『テスト自動化導入のポイントVol.1 〜どのテストを自動化すべきか〜』をご覧ください。

効果を試算する

テスト自動化やツールの導入などに投資する前には、必ず「どれくらいの効果(利益)が得られるか」を試算する必要があります。テストには、テスト対象(ソフトウェア)によってさまざまな種類があり、自動化のポイントも異なるため、テスト自動化の費用対効果を測定する方法もそれぞれに存在します。

また、テスト自動化の導入にあたり、一時的な生産性の低下は避けられないので、どこで巻き返せるのか(損益分岐点はどこか)を試算する必要があります。試算する要素には以下のようなものが存在します。

・道具にかかるコスト
・自動化にかかる時間とコスト
・失敗したテストを確認するコスト
・メンテナンスにかかるコスト
・教育にかかるコスト
・期待できる効果

詳しくは『テスト自動化導入のポイントVol.3 〜工数削減の効果と効果測定の方法〜』をご覧ください。

テスト自動化を試す

テスト自動化には、まだまだ時間的コストも金銭的コストもかかります。そのため、重要なのは、そのテスト自動化が成功するのかどうかを「小さくやって、評価する」ことです。

パイロットプロジェクトを立ち上げる

本格的な導入の前に、小さなパイロットプロジェクトでツールを試してみるのはとても重要なことです。「パイロットプロジェクト」とは、組織における先行的なプロジェクトのことです。これによって、導入するツールが既存プロセスにどのように影響するかを再確認できるほか、新しいツールや手順について学習することができます。

結果を評価する

パイロットプロジェクトが完了したら、その結果を評価しなければいけません。もし費用対効果が良いという結果がでた場合、そのテスト自動化の導入は小さな規模では成功したということであり、安心して本格導入が進められます。パイロットプロジェクトの目的が達成できなかった場合には、導入したツール、対象となるテスト、テストの規模などがそれぞれ適切だったかを評価します。そのうえで再度パイロットプロジェクトを実行するか、もしくは導入を見送るかを判断します。

テスト自動化を組織内に広める

テスト自動化を導入するにあたり、技術的な面ばかりに注目して「人の問題」を管理しないととても危険です。なぜならテストの自動化によって変わるのは「人の仕事のやり方」だからです。では、組織内にテスト自動化を広げるためにはどのようなプロセスが必要なのかご紹介します。

共有する

テスト自動化を組織に広める第一歩として、開発者やテスト担当者にテスト自動化を受け入れてもらう必要があります。そのために重要なのが、前述したパイロットプロジェクトの結果です。単に推測や計画資料だけでは説得力に欠けるため、パイロットプロジェクトの結果をもとに、確実に費用対効果が得られる見通しがあるということを証明できれば、関係者の理解も得やすくなるでしょう。

しかし、自分の仕事がなくなるという誤解や、変化を嫌うという性質を持った人も少なくありません。そういった場合には、前述した「組織上層部の支援者」からテスト自動化の意義や目的を伝えてもらうのも効果的です。

支援する

テスト自動化の導入が決定した後も、初期の関係者は社内への教育や、後継者の指導を行う必要があります。これにより、組織内にテスト自動化の文化を根付かせることができます。

見守る

テスト自動化が実際に導入された後は、その効果の監視やフィードバックを行い、必要に応じて計画の見直しを行う必要があります。

まとめ

・関係者やツールなどを決め、テスト自動化を計画する

・パイロットプロジェクトを立ち上げ、テスト自動化を試す

・テスト自動化の導入時だけでなく、導入後もノウハウを組織内に広めることに務める

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【参考文献】:
『体系的ソフトウェアテスト』
『システムテスト自動化 標準ガイド』