webサイトやアプリの日常的な利用は、今や多くの人にとって当たり前となっています。競合する情報やアプリが数多く提供され、どのツールを利用するかをユーザーが選ぶことができる時代です。
そんな競争の中、ユーザーから選ばれるサービス・製品を提供するため、ぜひ押さえておきたいキーワードが「UX(ユーザー体験)」です。そこで今回は「UX」とは何かから、UX向上に必要なポイント、効率的にUX向上を行うためのツールをまとめてご紹介します。
ユーザー満足度に直結!UX(ユーザー体験)とは?
ユーザーエクスペリエンスを略した「UX」は、体験や経験の意味を持つ「エクスペリエンス」の言葉通り、サービスや製品の利用によりユーザーが得た体験を指しています。
「アプリの使用により、これまで時間のかかっていた作業が簡単に終えられた」「webサイトのおかげで欲しかった情報が手に入った」といった体験はもちろん、「説明が読みやすいと感じた」「見た目が美しくて気持ちが安らいだ」「動作が遅くイライラした」など、使用によりユーザーに生じた感情もUXの一つとなります。
このようにUXは、サービスや製品に対するユーザー満足度に直結する要素です。SNSや口コミサイトが普及し、「一般のユーザー」が感想や意見を容易に発信できるようになった現在、「利用したユーザーの満足を得られるか」が売上や成果に及ぼす影響の大きさは、インターネット普及以前とは比べ物になりません。こうした背景により、ユーザー満足度を左右するUX向上の重要性が注目を集めているのです。
UXの質を左右する、押さえておくべき要素
UX向上を目指すにあたり、まず押さえておきたいのがサービスや製品の使用時の「体験」となり得る主な要素です。UXに大きく関与する項目を把握しておきましょう。
◆価値や有用性
希望した結果や欲していた情報が得られたか否かは、UXの中でも特に大切な要素です。例えば、ある情報を探して訪れたwebサイトにその情報がない場合、どんなに見た目が美しく、操作性のよいwebサイトであっても、「ニーズが満たされなかった」という体験が大きなものとして残ります。
役に立った、便利だった、楽しめたなど、ユーザーにとっての有用性や価値がしっかりと確保されていることは、UXを語る上で大前提です。
◆わかりやすさ
わからなくて困る、イライラするという感情は、UXにおけるマイナスの要素として代表的なものの一つです。
例えばアプリであれば、分かりやすさを損なわない程度に機能を絞る、機能の所在がわかりやすいユーザーインターフェイスにする。またwebサイトであれば、重要なメッセージや用途はアクセスしてすぐにわかるようにする、情報への導線を明確にするなど、わかりやすさの向上に努めたいものです。
さらに説明のわかりにくさも「不快な体験」を生み出す要因の一つです。ヘルプやマニュアルといった説明の所在はもちろん、説明文や図のわかりやすさも気を配るべき要素と言えます。
◆使いやすさ
操作性や使い勝手もUXにおいて大きな役割を果たします。同じ結果を得られるシステムを比べた場合、そこにたどり着くまでの時間や工数が少ない方が、ユーザーにとって「よい体験」であることは言うまでもありません。
その他「使いやすさ」を阻害する主な要因として、エラーや不具合、動作の遅さ、操作の複雑さなどが挙げられます。
◆見た目の印象
どんなに素晴らしい機能を持っていても、見た目が好きになれないなど印象で損をするケースもあります。反面、そのデザインの魅力からユーザーの支持を得るケースもあります。デザインなどの印象もUXに関わる要素の一つとして念頭におきましょう。
◆信頼の度合い
特にwebサイトの場合ですが、得た情報が信頼できるか否かもUXの質に影響を及ぼします。作り手の信頼性を高めるための情報、また情報の根拠となるソースを示すなど、「安心して情報を得られた」という体験につながるよう配慮することも求められています。
UX向上のポイントを知り、効果的な対策を実現
上記の要素を踏まえ、UXを向上させるには、どのような施策や作業が必要なのか、具体的なポイントを見ていきましょう。
◆対象を明確にする
ターゲットの正確な把握は、目的の達成に不可欠なだけでなく、UXの向上にも大きく影響します。いくつかの例を挙げてみましょう。
- 若年層向けと中高年向けの製品の場合、好まれるデザインや文体などが大きく異なる
- そのツールに詳しくないユーザーも使用する商品と、ツール自体にはある程度詳しい人に向けたハイスペック商品とでは、「満足を感じる」レベルに大きな違いがある
- 「そのツールの導入を検討し始めた人が、とりあえず情報収集したい場合」と、「ツールの導入は決めていて、商品を選定するための詳しい情報を求めている場合」では、webサイトに求める情報の質・量が異なる
年齢や性別などに加え、どのような目的、どういったスキルを持った人かなど、ターゲットをより明確にし、その層に適した対策を施すことはUX向上に欠かせないポイントです。
◆ユーザーの声を聞く(ユーザーテスト)
ユーザーの真のニーズが把握できないようでは、満足のいく体験は提供できません。そこで効果的なのが「ユーザーの声」をより深く聞くことであり、ユーザーの細かな心理まで把握できるユーザーテストは中でも効果的な施策と言えます。
例えばwebサイトにおいて、「アクセス数は多いのに、その後のアクションにつながらない」というケースの場合、アクセス解析でわかるのは「どのページで離脱する人が多い」といった結果のみです。
一方ユーザーテストであれば、「使い勝手が悪かった」のか、「求めていた情報や結果が得られなかった」のかを知ることができます。さらに「求めていた情報が得られなかった」ケースでも、「導線がわかりにくく求めた情報にたどり着く前に離脱した」のか、「作り手の意図が伝わらなかった」のか、「難しい・読みにくいなど内容に不満があった」のかなど、より詳しい状況も把握できます。アクセス解析だけでは分からない「理由」を知ることで最適な対策が立てられるか否かは、UX向上を大きく左右するポイントです。
開発者によるテストに起こりがちな、ある程度の知識や顔見知りに対する配慮による遠慮の心配がなく、実際に使用するユーザーと同じ感覚での意見を得ることができる。実際のユーザーが使用する多種多様な機種、環境でテストできるといった点もユーザーテストの代表的なメリットです。
ユーザーテストの経験を持つ企業からは、「スマホ用アプリの開発で社内テストでは見つけられなかった使用上の課題が見つかり、事前に改善できた」「運営するwebサイトの課題を洗い出す際に、制作現場の偏った経験や先入観を排除した意見を得ることで、見過ごしていた課題を知ることができた」といった声も寄せられています。
◆システム不具合・バグを潰す
「ある程度作業を進めていたのにエラーが生じて無駄になった」「バグのせいで正しい結果が得られない」という状況は、どんなユーザーにとっても不愉快な体験であり、システムの不具合やバグを潰しておくことは、UX向上に不可欠なポイントの一つです。
そのためのテストは開発の基本であり、すでに対策が行われているポイントとも言えますが、かける時間やリソースの不足により十分なテストをできないうちにリリースに至ってしまうケースもあります。またリリース後でも不具合が見つかり次第修正することができる環境に、若干の慢心が生じるケースもないとは言えません。
ここで重要となるのが、後の対応で不具合がなくなったとしても、システムのトラブルにより不快な思いをしたというユーザーの体験は消えないということです。一度感じた「使いにくい」という意見がSNSなどで発信されれば、製品のイメージを損なう、潜在顧客の行動に影響を及ぼすなど、大きなダメージを被る恐れもあります。
◆類似サービスとの比較・ベンチマークを行う
類似サービス(アプリ・webサイト)との比較やベンチマークは、スペックの検討などで使われる定番の手法ですが、どういった「体験をできるか」という視点では行われていない場合も多くあります。
UXを観点の中心に据えて比較することで、自分たちには「盲点となっていた部分」に気が付くなど、自社サービスのUX課題を発見しやすくなります。類似サービスより良いUXを提供するには…と考えることで、より具体的な改善ポイントが見えてきます。
UX向上支援ツール「MUXcloud」の紹介
UXの重要性やUX向上のポイントを理解しても、社内にUXエンジニア・UXデザイナーなどの専門家がいない場合や、高価なユーザーテストに予算が割けない場合もあるかと思います。そんな時は、UX向上支援ツール「MUXcloud」がオススメです。
◆UX検証・バグ出しを同時に実施可能
「MUXcloud」の特徴は、UX向上に必要な「ユーザー目線での意見・改善案抽出(UX検証)」と「不具合/バグの洗い出し」が同時に行えます。
◆ユーザー体験上、重要な導線やページにおけるUX課題の抽出
実際のユーザーと同じ感覚でテストするため、ユーザーが辿る可能性が高い導線やページ、つまり「ユーザー体験上、重要な導線やページ」を中心に課題抽出が可能です。
◆実際のユーザーと同じ機種・環境でテスト可能
実際のユーザーが使用するであろうさまざまな機種・環境でテストできるため、「UX向上に効果的な課題」を抽出可能です。
MUXcloudの詳細はコチラまとめ
ユーザーの満足度を左右するUXの向上は、アプリやwebサイト開発の成否に大きな影響を与える要因として、対処すべき大きな課題と言えます。ユーザーの声を聞き、その心理・行動の理由を知ることは、効果的なUX向上対策につながる第一歩です。