WRブログ

テストチームの運営Vol.2 ~最適なテストチームの人数とは~

テストチームの運営Vol.2 ~最適なテストチームの人数とは~

テストチームを円滑に運営するために、ここでは「テストチームの人数」について考えます。テストチーム運営の第一歩である「テストチームを作る」という工程で、まず必要となるのが「どのくらいの人数・構成」のチームを作るかの検討です。

テストチームを作る目安のひとつは「開発者の数」

テストチームに必要な人数は作業量に応じて増減するため、テストチームを作成する際は、どの程度の作業が生じるかを判断することから始まるのが一般的です。作業量を判断する目安とすべき要素はいくつかあり、「開発者の数」もその代表的なひとつです。

基本的には、開発者の数が多いほどテストチームが行うべき作業も多くなります。しかし開発者の数の多い製品が、必ずしも多くのテスト要員を擁しているわけではありません。実際のテストチーム作成では予算に限りがあり、チームの人数はその範囲内で構成することが求められるからです。確保できる人数が少なく、テスト担当者がすべての作業を担うのは困難なケースも珍しくはありません。開発者の数に合わせてテスト要員を増やすのが難しい場合は、アウトソーシング(第三者検証)に発注する場合もあります。

テストチームを作る目安は開発者の数は?

例えば30人の開発者が携わる製品の場合、最適なテスト担当者は何人でしょう? 実はこの問いの正解は一つではありません。テストチームの作成にあたり、開発者とテスト担当者の比率には「こうあるべきだ」という明確な決まりや定説はないのです。しかし開発者30人に対してテスト担当者が30人いる場合と、2人だけの場合では、テストチームの運営方針や担う作業は自ずと変わってきます。

その時々に応じて、与えられた条件内でもっとも効果的なテストチームを作るために最適な人数を見出すことが重要と考えましょう

どのような方針でテストチームを作るかを検討する

予算に応じて確保できる人数、優先したい事柄、開発者との作業の分担の可否など必要な情報が集まったら、どのような方針のテストチームを作るかを決定していきます。開発者に対するテスト担当者の数によって、実現可能なテストチームの例をいくつか見てみましょう。

■開発者とテスト担当者が10対10の場合

開発者10人に対して8~10人のテスト担当者を確保できる場合、質の高さを追求したテストチーム運営が可能です。テストの精度を高めるのはもちろん、開発担当者との密なコミュニケーションによりドキュメント作成などの負担を減らす、リスクマネージメントの手間を軽減するなど、複合的なメリットを生み出すテストチーム作りが目指せます。

作業の担い手や品質の確保においてはもっとも望ましい形ですが、コストが高いことが最大のネックです。

■開発者とテスト担当者が10対5前後の場合

開発者10人に対し、4~6人程度のテスト担当者を確保できれば、前述した10対10の場合に生じる複合的なメリットを除く作業の多くをこなすことは可能です。チェックの目が減る分精度は落ちますが、ひとつの製品に含まれるエラーやバグの総数は同じため、倍の人数でテストしたからといって倍の量のバグが見つかるわけではありません。

テストの結果に大差がなければ、およそ半分のコストでほぼ同じ効果が得られることになります。実際にはそこまで単純な計算ではありませんが、コストパフォーマンスの良さは明らかであり、効果と費用のバランスに秀でたテストチームと言えるでしょう。

■開発者とテスト担当者が10対2以下の場合

開発者に対してテスト担当者が極めて少ない場合、コストが押さえられる反面、作業できる量はかなり限定されます。このケースのテストチームは、開発者がテスト作業の何割かを担うことで品質確保を目指す運営が必須となります。

開発者の協力を得るためのプロセスを事前にしっかりと構築・通達する、開発過程でのテストの精度を高めるよう依頼するなどの根回しが必要です。

まとめ

最適なテストチームの人数は一様ではなく、与えられた条件により変化します。テストチームに求められている作業量と限られた予算に対し、最適な人数とチームの方向性を見つけましょう。

テストの管理に関するその他の解説記事
テストチームの運営Vol.1 ~独立したテストチームの必要性とメリット・デメリット~
テストチームの運営Vol.2 ~最適なテストチームの人数とは~ 【本記事】
テストチームの運営Vol.3 ~失敗しないテストチームの作り方を考える~
テストチームの運営Vol.4 ~テストにかかるコストの把握と見積もりの勘所~


【参考文献】:

『現場の仕事がバリバリ進む ソフトウェアテスト手法 初版第2刷』