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テストチームの運営Vol.3 ~失敗しないテストチームの作り方を考える~

テストチームの運営Vol.3 ~失敗しないテストチームの作り方を考える~

前回に引き続き、テストチームの作り方についてポイントとなる点を見ていきます。テストチームの規模を見極めるための情報を整理し、最適なテストチームを作成できるか否かは、その後の成果物の品質へ影響を及ぼす大切な要素です。

テストチームを作るために押さえておくべき3つの情報



テストチームを作成する際は、何か一つの目安から単純にその規模を決められるものではありません。前回の記事で扱った「開発者の数」に加え、テストチーム作りの基準として押さえておくべき3つの条件と、検討時のポイントをチェックしていきましょう。

その1:開発規模は工数まで考える

1つ目の「開発規模」は、その大小が比較的把握しやすい基準と言えます。過去の事例などと照らし合わせることで、「開発規模がこの程度であれば…」とテストチームのおおまかな規模を想定するのにも活用しやすい情報として重宝します。

ただしプロジェクトの内容により工数は増減します。チーム作りの作業を進める上で、想定されるモジュールや工数をピックアップし、詳細を見定める作業は必須です。全体を一望でき、比較検討がしやすい表などにまとめると、効率的に作業できおすすめです。

その2:開発期間の影響は見極めが難しい

2つ目は「開発期間」です。作業量が同じでも、何日で行うかにより必要なテストチームの規模は変わってきます。作業期間の目星がついたら、必要な工数をその日数でこなすための人数を算出してみましょう。

ここで注意したいのが、作業できる時間と必要なテスト担当者の人数は単純に比例するものではない点です。期間が短い場合、準備や対応に使える時間も不足するためより多くの人員が必要になります。また、期間の短縮に伴い増える人数よっては、マネージメントを助ける人材の増員も行うケースも出てくるでしょう。

加えて念頭におくべきは、当初想定した「テストに使用できる日数」は変化する可能性があるということです。なんらかのトラブルや変更が生じて開発が遅れることは珍しいことではありません。見極めの難しい要素ではありますが、不測の事態に対応する可能性も視野に計画しておきたいものです。

その3:製品の品質目標でも作業量は変化する

3つ目は製品の「品質目標」です。どんなソフトウェアもバグ一つない完璧さを実現できるのは理想ですが、品質の高さを求めるほど開発の期間とコストがかかるのは避けられません。そのため現実的に求められている品質は、製品により異なります。

プロジェクトに必要な品質を確保するために生じる現実的な工数を算出することで、テストチームに必要な人数を知ることができます。

テストチームの構成やメンバーも検討しておこう

人数が同じであっても、メンバーによってチームの働きは大きく違ってきます。どのような人材がどれだけ必要か、またコスト内で確保できるかも検討しておきましょう。各々の持つスキルの確認はもちろん、どのようなタイプの人材かもチェックしておきたいポイントです。

例えば、新たなツールを探すのが好きなタイプ、与えられたツールの使いこなしが早いタイプ、コツコツとチェックを続けるのが得意なタイプなど、さまざまなタイプのテスト担当者がいます。特に重視したい作業を得意とするタイプは多く配置する、バランスよく採用することで各々の得意分野で活躍してもらうなど、より効果的な構成でテストチームを作ること意識しておくと、円滑な運営につながります。

まとめ

テストチームを作る際は、さまざまな情報を正しく分析し、必要な条件を見極めることが肝要です。コストとの兼ね合いからすべての条件を叶えることが難しい場合も多くありますが、集めた情報を元に取捨選択することで、できる限りベストな状態に近づけたいものです。

なお、ここで挙げた要素は、計画や開発が進行する過程で変更が生じることも多くあります。変化に対応し、最適なプランを更新できるよう、チーム策定に使用した情報の管理方法を工夫しておくと効率的に作業できます。

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テストチームの運営Vol.1 ~独立したテストチームの必要性とメリット・デメリット~
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テストチームの運営Vol.3 ~失敗しないテストチームの作り方を考える~ 【本記事】
テストチームの運営Vol.4 ~テストにかかるコストの把握と見積もりの勘所~


【参考文献】

『現場の仕事がバリバリ進む ソフトウェアテスト手法 初版第2刷』

【参考URL】:
https://books.google.co.jp/books?id=xEaDAgAAQBAJ&pg=PT170&lpg=PT170&dq=%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%80%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%88&source=bl&ots=1AgTEhMJ2l&sig=Y-jZirYly2uIVSZ69x1sQb1tA0E&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwihytmhseTTAhULfbwKHZVwCukQ6AEIKzAC#v=onepage&q=%E3%83%86%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%80%E3%82%B3%E3%82%B9%E3%83%88&f=false,(参照 2017年5月14日)